今まで気づいていませんでしたがガール・オン・ザ・トレインのメガン役も
本作のヘイリーはミシェル・ウィリアムズのような繊細さに好感が持てました。
STORY
ニューヨーク郊外の邸宅で誰もが羨むような暮らしを手に入れたハンター。
しかし、まともに話を聞いてくれない夫や彼女を蔑ろにする義父母の存在など
彼女を取り巻く日常は孤独で息苦しいものだった。
そんななか、ハンターの妊娠が発覚し夫と義父母は待望の第一子に喜ぶが
ハンターの孤独はこれまで以上に深くなっていった。
ある日、ふとガラス玉を飲み込みたいという衝動にかられたハンターは
ガラス玉を口に入れて飲み込んでしまう。
ハンターが痛みとともに感じたのは得も言われぬ充足感と快楽だった。
異物を飲み込むことに多幸感を抱くようになったハンターは
さらなる危険なものを飲み込みたい欲望にかられていく。
CAST
異食症とは
プラスティックやガラス、金属、土、氷、紙など栄養価がないものを食べる症候で
小児と大人の妊婦に多いそうです。(つまりSwallowの話は現実に起こり得ること。)
原因は栄養障害(鉄・亜鉛欠乏は氷食症が多いとは聞いていました。)のほか
精神的ストレスの場合も当然あり
監督のカーロ・ミラベラ=デイヴィスは自身の祖母が祖父からの抑圧的な態度により
異常に手を洗う強迫性障害になったエピソードに着想を得てるそうで
この映画の異食症の原因は後者です。
また、カーロ・ミラベラ=デイヴィス(男性)は性自認が女性だったことがあるそうで
女性として生きていた間に感じた生きづらさもこの作品に反映させています。
感想
こういう女性主人公の生きづらさや、それに起因する精神的な躓きを描いた映画には
過剰に自分と重ね合わせすぎたレビュー、
それよりも断然いただけないのが、共感性や読み取りが著しく欠如してるだけでなく
まるで自分が何かされたかの如く
映画や主人公に対して変な被害感情での攻撃的なレビューも多く見られ
嫌な気持ちになりがちですが
とても素晴らしいレビューを見つけて同感なので引用させていただきます。
(若干、ネタバレなので、お嫌な方は視聴後にどうぞ。)
「フェミニズム云々」など無意味、ストレートに問題を受け止めよう
➁家庭の中で存在を無視されている(と感じる)女性の疎外感
➂キリスト教右派思想の欺瞞
④犯罪により生まれた人間の喪失感と回復の手だて
➄堕胎の決断とその意味
Sun East氏のレビュー
( 「フェミニズム云々」など無意味、ストレートに問題を受け止めよう)より引用
変な寄り添い方でなく、メッセージをきちんと受け止めるとは
こういうことだと思う。
私もこの方がおっしゃるように
すぐにフェミニズム映画だと決めつけたり、
"それとの「心理戦」に勝つ必要がある"と敵意剥き出しにするのは違うと思う。
これはあくまでハンターの物語。
ハンターに対して自己中心的であるとか胎児のことを考えられないのかと
苛立つ人のレビューもあるんですが前者は短絡過ぎるし、
後者は4.の”キリスト教右派思想の欺瞞”と同じ感じがします。
2022年6月24日にもこういうことが起きてしまってますが
いいことではないけどなし崩しで産むより引き返す選択も責任だと思う。
産み出す前の胎児より、まずは自分の人生を優先するのは罪悪ではない。
彼女に現れた異食症に対して
病気でもいいじゃないとか常識に囚われるなというのも見たんですが
私はそうは思いません、彼女を責められないというだけで
命に関わる事態になり得ることだから肯定や放置はできるわけがない。
周りがどんな想いで言っていたかはさておき、
死に至ることを止める、入院させようとするのは仕方がなかったと思う。
結果的に切羽詰まった状況が訪れたことで
彼女は自分で解決する方法を見出し進んでいっただけで
彼女自身も正解かわからなかったと思うし他の人にもわかるはずもない。
義父は確かに冷たい、義母は時折デリカシーに欠ける(悪い人ではない)、
リッチーに関しては
本当にハンターを飼い殺しにしてただけ(=胎児だけが大事)かといえば
ネクタイのときなどの苛立ち方は引っかかるものの
最後のあれはパニックもあったのではとも取れます。(内容はひどいと思う。)
彼もまだ未熟さがあり、突如始まった異食症を理解できずに疲弊した中で
降って湧いたハンターとの別れが容認できなかった暴言もあるような気もする。
ただし、あのまま彼らが上手くいくとも思えないし私でも電話を切るとは思う。
女医さんの行動については守秘義務やもっと慎重にすべきだったかもしれないけど、
”命の危険がある”と考えたのなら仕方ない気はします。
ルエイは今後ハンターがどうするのかは確信はないものの
表情の中に破滅を望まない(生きる気持ちがある)のを読み取ったのかもしれない。
その能力は極限状態の中で人の生き死にを見てきたルエイならではなのかも。
すぐに理解を持たせなかったところはリアリティがあってよかったです。
ハンターが自己中心的だったかと言えば突然症状が表れて止められなかったけど
パフォーマンスで同情を引いていたわけでもなく、
ひたすら戸惑う幼女のようだっただけでした。
彼女は結婚(妊娠も含む)を空虚さを埋める正解だと信じて進んできたものの
置き去りにするには大きすぎることを解決できないまま大人になり
妊娠をきっかけに子供時代をきちんと消化できていないサインが出たのでしょう。
終盤の服装も恐らく単に状況を表すものでなく象徴的に感じられて
私は今後のカーロ・ミラベラ=デイヴィス監督作品に期待大です。
何ごとにおいても”変えられない事実”や周りがどうあれ
(我慢という意味でなく)飲み込んで飲み下すばかりではなく
助けを借りたとしても自分しか解決できないんだなとよくわかるお話でした。
私はSE7ENのサマセット刑事の台詞を思い出しました。
I agree with the second part.ー Detective William Somerset
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